オーダー家具製作・注文家具製作、アンティーク家具の修理・修復の「デコラティブアートスタジオ 黒瀧道信」
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17世紀キャビネットオンスタンド
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アンティーク
モダン
17世紀キャビネットオンスタンド
キングウッド、ウォールナット、シカモア、ボックスウッド、パイン
イギリス時代の修復です。
イギリスのウイリアム&メリー時代の1695年頃作られたキャビネットオンスタンドです。
スタンド部分は破損して消失しており、18世紀に作られたと思われるシンプルなアッシュ製の脚がかわりにつけられていました。
この脚を取り外して本来付いているべき脚を新たに製作して取り付け、300年経った状態に木部を磨耗させ、キズをつけ、着色をするという私が経験した中でも最も難しい修復でした。
実際の修復では、ダブルスクロールレッグと呼ばれる脚を6本製作して、脚と脚をつなぐストレッチャーというパーツを作り、全てのパーツに繊細な象嵌を施しました。そして旋盤でお饅頭型の足を製作して取り付けました。
着色は、染料や顔料では出し切れない色を表現するために薬品で木の表面を酸化させて、アンティーク家具独特の黄色がかった飴色を再現しました。
スタンド部分を再生するためのデザインは、イギリス北部のヨークシャーにある博物館にこのキャビネットとデザインがほぼ同じキャビネットが存在する事を突き止め、 実際にその場所に足を運び、博物館の了承の元に精密な型を取らせてもらい、象嵌のデザインも実際の家具からトレースさせてもらい決定しました。
このように修復を始める前にも綿密なリサーチを行い、これからやろうとしている修復の正当性を十分に実証してから作業をスタートしました。
300年前のクラフトマンの技術と私の技術が一つの家具の中で融合するというロマンティックで感慨深い修復でした。