今日は東京、枝川にあるアンティークショップ「
W.WORKS 」さんに修復した家具を納品に行きました。
ベイエリアの倉庫を使ったショールームは、屋外からは想像できないクールな世界です。
アメリカから買い付けてきたミッドセンチュリーのビンテージ家具がディスプレイしてあります。
天井は5メートルくらいの高さがあります。家具が美しく見えるためには天井が高い事もとても重要です。
家具、照明器具、小物、ミラー、絵画、彫刻など素晴らしいセレクションの品々が見られます。
ラルフローレンの店舗デザインやディスプレイのコーディネートなどもされているお店です。
僕の大好きなビンテージの世界です。
階段があって小さなステージのようなコーナー。
見ていると欲しくなるものがたくさんあります。
バーにしたら最高だろうなと想像してしまいます。
今回はアメリカモダン家具の最高峰であるDunbar社製で、アメリカモダン家具デザイナー、Edward Wormley デザインの、マホガニーのデスクと、マホガニーのレターキャビネットを修復しました。
デスク。アールデコの影響を強く受けたデザインですね。天板は鏡面仕上げしてあるので、いろんな物が写り込んでいます。
レターキャビネット。小ぶりでシンプルだけど美しいプロポーションです。
どちらも1950年代に作られたもので、現在では入手が困難なものだそうです。
他にもDunbar社の家具を展示されていました。
まだまだ見たことのない面白い家具がたくさんあるんだなとつくづく思います。
Dunbarの家具がどのように作られているかもわかって興味深い修復でした。
今度この修復について書く時にそのことも話そうと思ってます。
帰り道で通った晴海のあたり。
極端に緑が少ない・・・・・
ミッドセンチュリー:2012年02月18日
最近修理をしたBang & Olufsen のオーディオキャビネットです。
一目で80’sとわかる直線的でポップな色使いのキャビネットで、向かって左のラックにはLP盤レコードを斜めに収納できるようになってます。
この会社はデンマークで1925年に創立されたオーディオメーカーで、
製品の最大の特長は、デザインが非常に優れていることです。先進的な機能及び操作性と融合したそのデザインは、オーディオにおけるインダストリアル・デザインの代表的存在として高く評価されていてます。
これまでに18製品がMoMAのパーマネントコレクションに選ばれています。
このレコードキャビネットのように、過去においては近未来的なデザイン傾向が強く見られました。
合板を使って作られていますが、分厚い塗装のため見た目はプラスティックのように見えます。劣化した塗装面を再塗装しました。
分厚い板が使われていますが、レコードラック部分の端が45度に切断されていて、1ヶ所だけ尖ったエッジがある事が、全体にシャープな印象を与えるアクセントになっています。
デザインとしてはこれでいいのですが、耐久性で言うとこの尖ったエッジは、物がぶつかると尖っているがゆえに簡単に欠けてしまうという問題があります。
この修理でもこのエッジ部分の角が欠けていて修理しました。
実用性を最優先したり、デザインのために耐久性を犠牲にしたり、修復や修理をしていると、デザインと製造の裏にあることが色々と垣間見れます。
このキャビネットは完全に修復されて元のコンディションに近い状態で使えるようになりました。
ミッドセンチュリーデザインのビンテージ家具を販売している
HAPPO DESIGN GALLERY さんで扱っている家具です。
個人的にはライセンス生産された新品のモダン家具より、エージングのきいたビンテージの家具に魅力を感じます。
ミッドセンチュリー:2012年02月14日
これは結婚式で神父さんの前で誓いをたてる時に使う聖卓台です。
長くお付き合いさせて頂いている TAO THONG VILLA さんが
総合プロデュースした結婚式場のチャペルのために製作しました。
結婚式の雰囲気を支える物なので、ゴシックの要素を取り入れて大袈裟に
ならない程度の荘厳さを表現してみようと思いました。
古い教会をイメージして、古びた質感を出しています。
兵庫県の姫路駅近くの古い銀行の建物を結婚式場にリノベーションする大規模なプロジェクトの一部となりました。
とても落ち着いたクラシックとモダンのバランスのとれた式場です。
外観です。ヨーロッパの建物を連想させますね。
エントランス
チャペル
ゴシックをイメージした透かし彫りがシルエットになっています。
天井が高い空間です。
綺麗ですね。
さすが素晴らしい写真です。工房での写真とは大違いですね。
家具は置く場所によって表情が大きく変わることがよくわかります。
家具作り:2012年02月10日
先週の土曜日、今週の火曜日に彫刻教室のレッスンをしました。
写真と共に紹介します。
この生徒さんはアカンサスのレリーフを彫っています。
レリーフ部分の周りを大きい彫刻刀と小槌でひっぱたいて、木くずを豪快に飛ばしながら彫り進んでいきます。
気持のいい工程です。
どんな風に彫れたかというとこんな感じです。
これから葉っぱの部分を彫っていきます。
この生徒さんは彫刻の入った猫脚の椅子を作るために、原寸の図面を引いてます。無垢のマホガニー作る予定です。
難易度は高いです。
夜のクラスは新しくスタートしたので、みんな額縁を彫っています。
この生徒さんは彫刻のスミ付けしてます。
この生徒さんもスミ付け。
楽しそうにしてというリクエストに律義に答えてくれて、笑顔です。
この生徒さんも楽しそうに写ってくれました。
本当に楽しいのです。
この生徒さんはエンジェルの頭部を彫っています。
粘土でモデルを作ってから木で彫っています。
これも難しいです。
下書きは彫るたびに消えてしまうので、書いては彫りを繰り返します。
この生徒さんはホタテ貝の彫刻に金箔を貼るために下地の準備をしています。チョークの粉や黄色いクレイを接着剤と混ぜて塗っていきます。
乾いたらツルツルになるまで磨いて金箔を貼ります。
黄金のホタテ・・・
真剣に彫ってます。
雑談にもあまり参加しないで集中していました。
オークの木の枝をモチーフにして彫っています。
葉っぱの他にドングリがたくさんついてます。
繊細な彫刻です。
柱時計のケース部分の装飾になる予定です。
今週から土曜日の午後のクラス、新しいクラスがスタートします。
興味のある方は是非見学に来てください。
趣味の教室:2012年02月08日
個人のお客さんの自宅のために特注で製作した「モザイクテーブル」。
天板はカラフルなモザイクになってます。
お客さんの希望で、オランダの家具デザイナー、ピート・ヘイン・イークの家具で使われているような、モザイクの天板にしてほしいと依頼されました。
それ以外はお任せだったので、天板の下のフレームの部分はうちのいつもの味付け、デコラティブな脚にしてみました。
脚は白く塗りつぶして使い込んだ風合いにしてあります。
天板が直線的なラインで構成されているので、脚は複雑な曲線の連続にしてあります。
カラフルだけど強烈な原色を使わないで、少し淡い色を使っています。
これならテーブルの上にカラフルなお皿が来ても色がぶつからないし、色彩豊かな料理がテーブルの上に置かれても食欲を損なわないと思います。
何よりもお客さんがたくさんこのテーブルについてワイワイと御飯を食べていたら、めちゃくちゃ楽しそうです。
使い込まれてモザイクの色がところどころ剝がれてきてもいい感じになりそうです。
家具:2012年02月03日
大学生だった頃広尾の「ペニーワイズ」というアンティークショップでアルバイトを始めました。
それまでは、物は新しくてパリッとしてて、綺麗で、新品のにおいがしている物が一番だと思ってました。
例外と言えば古着のジーンズくらいで。
バイトの仕事でお店や倉庫にあるアンティーク家具の山の中で過ごす時間が増えてきて、知らない間にふと気付くと、
均一ではない古い家具の色合いとか、
傷の入った家具の表面とか、
長年にわたってこすれて色が薄くなっているところとか、
材木が歪んで痩せてきて天板がデコボコになっていところとか、
シミがついているところとか、
汚れがたまって黒ずんでいるところとか、
そんな古い家具の持っている色や質感がいつの間にかかっこいいと思い始めていました。
そのうちお店の家具の修理をするようになってくると、新しい木を自分の好きな古い質感にできたら面白いなと思い始めました。
その後イギリスに住み始めてみると、そこは大好きな古い物の質感に囲まれた世界でした。
大学で家具の修復を正式に勉強してみると、科学的に、論理的に工芸技術を駆使して古い質感を作りだすものすごいオタクの世界があって、僕のはるか先を行く人達に出会いました。
こんな切り口から家具の世界に入り込んだので新しい家具を作っていても、仕上がりの質感をどうするかが常に気になってしょうがない。
作る物のデザインや素材に最適な質感を表現できれば完璧だなとつい思ってしまいます。
定番で作っているパインのテーブルもシャビーなフレンチスタイルの家具にしたいので、使い込んで木が痩せて、傷が入って、色も褪せて、汚れもシミもついている質感を表現したいと思って作っています
このテーブルも、見た目は汚れて使い込んだように見えるのですが、実際は清潔な新しい材料を使って古く見えるように作っているだけなので、いたって清潔な家具だということです。
古い質感が既にできているので使っていても、傷を気にしなくても大丈夫です。
すごく肩の力を抜いて使えるという利点もあります。
家具作り:2012年02月01日